枝川緑道公園の木々を縫うように南へ向かう。右手には岡山大学病院。その左手に佇む優しい色合いのマンションが二棟。その真ん中にある駐車場から、二棟のシルエットを愛おしそうに見上げるひとりの男性。それが、今回の施主・西村勝文さまである。
「今『スプレンドーレ医大東Ⅱ』が建っている場所には、築100年を超える西村家の自宅が建っていました。建物だけじゃなく、庭の木々や灯籠なども…。だからそこにマンションを建てる時は、ずいぶん悩みましたね。父をはじめ先祖の思い出が詰まった住まい、庭の木を切るのも忍びない想いでした」と決意の頃を振り返る西村さま。
ところが、この話には後日談がある。先祖代々、受け継いできた住まいと庭を取り壊すことに逡巡する西村さまの意を察した䅈社長は、なんと庭のおも立った木々をすべて移植することを決意。「一本も枯らさない」と自ら受け入れ先を探し訪ねた。そのうちの二本は牛窓神社に移植され、昨年夏の猛暑の折には、秦建設のスタッフが水やりにも通ったという。
「䅈社長とは父・鹿三郎の代からのお付き合いです。お会いしてから、もう10年くらいになります。今回の植木の件でも分かるように本当に『お任せしておけば大丈夫』。社員の方も一糸乱れず、社長の意とすることを理解してすぐに対応してくれるという社風は、建築の模範じゃないでしょうか」。
現在、『スプレンドーレ医大東Ⅱ』の最上階にはご家族のみなさまが住まわれている。御年90歳を迎えられたお祖母さまのために段差なしのバリアフリー、鹿三郎さまのお仏壇のある和室に隣接したお祖母さまのお部屋には専用トイレも備えられている。また、毎日デイケアへ向かわれるお祖母さまが雨に濡れないようにと一階には屋根付きのゲートを設けている。
「西村家は持ち運の良さというのか、上昇気流、そう上に昇っていく『運気』を家風としてお持ちです。鹿三郎さまと静香さまが土台を守って、勝文さまと奥さまに引き継がれています。この二棟のマンションは『岡町のツインタワー』、ランドマークですよ」と語る䅈社長。
最後に奥さま…「このまま古い家にずっと暮らしていくのかなと正直思っていました。まさかこんな自分たちの好きなものに囲まれた生活ができるようになるとは…。本当に夢のようです」。
家を守る気概。家長としての気構えは鹿三郎さまから勝文さま、そして健治さまへ受け継がれる。美しく天に向かって伸びる二棟のシルエットを誇らしげに見上げ続ける勝文さま、実にいい笑顔だった。
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